ネット社会の普及や輸送手段の進化なども相まって日々グローバル社会が加速するなかで、ヒト・モノ・サービスの移動が急速に拡大しています。特に、ビジネス活動が活発化し、国境を超えた取引が増大しています。こうした活動を円滑なものにする基盤が契約ですが、別の言語圏との交易・交流には翻訳が欠かせません。

 法律・法務は、利害関係者の意思をルール化したものであることから、所謂、法律・法務翻訳では原文の意図を正しく理解・解釈して伝達することが最も重要な役割となります。
 また、別の言語圏をまたぐ契約や訴訟では、それぞれの国・地域で慣習や文化も異なる上、法令も統一されているわけではありませんので、これらの違いも念頭に置く必要があります。さらに、超難関の国家資格である司法試験が求められる分野であるが故、高度な法律の理解力は翻訳技術の重要なベースとなっています。

●社会・企業活動に密接に係る法律・法務

 法律・法務は、特定の分野に限定されるものではなく、あらゆる企業や人々の生活においてさまざまな場面で係わっています。大きく、裁判関連資料、契約書、企業内の内部管理などに分類され、具体例として主に以下のような文書が翻訳され、各々が高い専門性を有しています。

◇裁判資料:裁判記録(訴状、答弁書、証拠説明書、宣誓供述書、陳述書、口頭弁論書、弁論要旨、判決文等)
◇契約書:売買契約、輸出入契約、販売契約、販売代理店契約、資産・株式・持分譲渡契約、合弁契約、業務提携・委託・請負契約、デューデリジェンス、ライセンス契約、広告契約、秘密保持契約、ノン・ディスクロージャー、雇用契約、賃貸借リース、約款等の関連書類
◇念書・誓約書
◇覚書・協定書
◇法務関連:定款、人事労務など各種社内規定、コンプライアンス
◇企業の内部管理:内部統制報告書、コーポレート・ガバナンスに関する報告書
◇法令:各国法令

●法律・法務の翻訳は正確な意図の伝達が最も重要

①正確な意図伝達が最重要:解釈を違えない翻訳
 法律・法務の翻訳で何よりも重要なことは、原文の意図を違わずに正確に翻訳することにあります。但し、原文の読み方によっては、別の意味に解釈が可能な場合もあるため、その際は適切な解釈を踏まえて訳します。それでも、別の解釈の可能性に絞り切れない場合は、顧客とのコミュニケーションを図り、意図を確認した上で翻訳をします。

②書類の背景への理解力が求められる
 契約書一つとってみても、製造業の売買契約もあれば、ソフトウエアのライセンス契約、タレントとの広告契約、不動産の賃貸契約など多岐にわたることから、翻訳に際してはそれぞれの分野の背景知識も必要とされます。特に、商品やサービス契約などでは、その業界の専門用語が使用されることなどから、関与する業界への理解は翻訳に不可欠となります。

③他の言語圏の慣習・文化、法制度の相違にも精通
 他の言語圏での裁判や、売買取引などでは、各利害関係者の属する国や地域で、文化や商慣習、さらに法令も異なります。これらの違いによって解釈が異なる場合は、翻訳文に注記という形で顧客に対して申し送りします。

●契約書のフォーマットや用語統一などにも配慮

契約書には一定のフォーマットがある
 契約書の作成・様式は基本的に自由が原則ですが、その作成は概ね、1.表題、2.前文(契約内容を特定)、3.本文(約定事項)、4.後文(契約書の作成枚数、原本・写し、保管方法などを特定)、5.契約書作成日、6.当事者の表示——等によって構成されています。

 本文には、一般条項、主要条項、解除条項、損害賠償条項、知的財産に関する条項、期限の利益喪失条項、反社会勢力の排除条項——等などが盛り込まれています。
 これらの内容は、条、項、号、柱書、但書、前段、後段等によって一般的に構造化されています。翻訳の際にも、このフォーマット(ファイルの作りによる)に沿って記載します。

契約書の細部にも目配せが必要
 契約書などでは、同じ名詞でも呼び方が複数存在すると、内容が全く異なって解釈されてしまうケースがあるため、用語の定義を行います。例えば、ある特定の製品を、「本製品」「本件製品」は同一の用語であることを定義します。翻訳に際しても、用語が不統一な場合、契約内容が不正確なものとなり、本来の契約の役割を損ねてしまいます。このため、用語の取り扱いは、慎重を期します。

 また、日本の法律の英訳は、法務省が「日本法令外国語訳データベースシステム」を参考訳として提供しており、往々にしてこれに基づいて翻訳をします。

サイマリンガルは、法律・法務の翻訳を専門的に扱っています。

サイマリンガルでは、創業以来、法律・法務分野に注力してきた実績があり、さまざまな法律関係文書や契約書、社内規定等の翻訳に対応しています。
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法律・法務のサポート役として力を発揮します。

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