企業や商店、学校、団体などの情報発信ツールとして、最も利用頻度の高いものの一つが、パンフレットです。現在では、ブローシュア(brochure:小冊子)と英名でも定着しています。デザイン性を重視し、視覚的に訴求することの多いツールで、印刷物として配布されますが、ネットの普及により、所属先のホームページにPDFファイル形式としてアップロードし、クロスメディア戦略として展開されるようになりました。
印刷版もWEB版も双方ともPDFで元版を製作できるため、多様な用途で利用が広がっており、他言語のコミュニケーションの一環として複数の外国語版を作製する機会も非常に増えています。特に、インバウンドの分野では、地図やイラスト・画像などで外国人に分かりやすく情報を伝達できるツールとして、外国語版の提供は消費喚起の有効な戦略と捉えられています。その翻訳には、ビジネス文書と異なったテクニックが必要になります。
●情報媒体はコンテンツの用途によって多様な形態がある
情報伝達媒体にはさまざまな形態があります。ビラ(簡易な掲示物/配布用紙片)、チラシ(一枚刷り/期間限定/宣伝用途)、フライヤー(1枚刷り/期間限定/据置・PULL型広告)、リーフレット(1枚刷り/2~3つ折り)、パンフレット(2枚以上/中綴じ/広報・宣伝用途)——などがあり、それぞれの目的に応じて活用されています。
これらの媒体は、会社や学校、団体・組織案内などの広報・PR向けに活用されていることはもちろんですが、主に商品やサービスなどの広告・宣伝として多用されています。パンフレットであれば、新車などの商品案内、BtoB向けの製品案内、旅行プランやホテル、テーマパークなどの施設・サービス案内などはほんの一例です。
●宣伝・広告は意訳がモノを言う
広告・宣伝向けのコンテンツの翻訳には、何よりも流暢な文章が求められます。これらのコンテンツは、イラストや画像に加え、表・グラフ・フローチャートなどを用いて一見性による情報のインパクトを与え、魅力を伝えて購入意欲を高めることを目的としていることから、テキストも叙事的、写実的なものよりも、叙情的、情緒的な文章が主体となる場合が多く見られます。こうした文章は、原文の文意を踏まえて相手原語に適した意訳が効果を上げます。
さらに、広告・宣伝文句は往々にしてキャッチ―でコピー的な文章で訴求します。広告用語で、「タグライン」と呼ばれるもので、語呂、韻、対句、対比、反復といった言葉遊びや駄洒落などで創作されているものが多くあります。これをそのまま翻訳することは相当困難です。その場合は、原文の意を損なわない範囲で、ネイティブとしてふさわしいひねった翻訳を行います。原文の表現にこだわり過ぎて直訳をすると、ネイティブの読者にとって、何を言っているのかさっぱりわからない文章になってしまうことは絶対に避けなければなりません。
●翻訳の際には原稿整理が必要
パンフレット等の媒体は、テキスト上に直接、翻訳文を上書きできません。そのためには、ワードやエクセルのテキスト・ファイルを利用して翻訳する必要があります。原文のテキストがシンプルであれば、そのままファイル上に上から順番に翻訳内容を書き記せば良く、これは所謂、「ベタ打ち翻訳」と呼ばれます。
その一方、原文のテキストが点在していたり、表やグラフ、イラストの内にあり、原文テキストと翻訳テキストの位置関係が分からなくなってしまうケースがあります。その際は、一度、原文のレイアウトをコピーし、そのレイアウト上におおまかなテキストの位置を採番します。翻訳をする際は、その採番されたテキストの順番に沿って進め、今度はワードテキストファイルに合番を振って翻訳テキストを記載していきます。
原文テキストと翻訳テキストの関係をもっと厳密にしたい場合があります。これは、DTP作業によって翻訳テキストを流し込むケースがこれに当たります。DTPオペレーターが、PDFの原文のテキスト上に、翻訳テキストを上書きする場合、翻訳言語が分からないDTPオペレーターがミスなく正しい位置関係を抑えながら作業を円滑に行うために、最も有効な手段となるのが、「翻訳対照表」の活用になります。
これは予め原文テキストを抜き出してリスト化することです。ワードファイルにしろ、エクセル・ファイルにしろ、リスト化された原文の横に翻訳テキストを記載します。このリスト化したものが、「翻訳対照表」と呼ばれるものです。
「翻訳対照表」に原文を抜き出す作業は、原文PDFが編集可能な状態で、テキストをコピーできるものに限ります。PDFが画像化されてコピーできない場合は、手入力する必要があります。この原稿の抜き出し作業は、お客様の作業負担となりますが、編集作業費用を上乗せいただくことで翻訳会社側が作業に応じられる場合もあります。
●必要に応じてレイアウトチェックとして校正
仕上がった翻訳テキストを、お客様の方でPDFの製作ソフトを通じて原文テキストの位置にDTPの流し込み作業を行った後、正しい位置に翻訳テキストが反映されているかどうか、翻訳会社側では「レイアウトチェック」という追加依頼の費目で、校正作業を行うこともあります。
その場合、テキストの反映を確認するもの、テキストの誤字脱字なども確認するもの、テキスト並びにレイアウト面も確認するものなど、幾つかのレベルがあります。
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