最近の労働環境における安全意識の高まりのなかで、事業者が特定の欧州原子核研究機構(CERN)のティム・バーナーズ=リー博士が、世界初となるWEBサイトを公開したのが1991年8月*。その後、画期的なオペレーティング・システムの普及や検索エンジンの登場、グラフィック技術の進歩などもあり、企業のホームページへの参入が相次ぎました。2000年以降は、WEBの双方向化、スマートフォンなどへの対応、「HTML5」の規格化などの変遷を遂げ、約30年の間に企業のホームページも充実した内容を提供するようになりました。
 当初、「街の看板」としての役割に過ぎなかった企業のホームページは今や、企業と社会の重要な窓としての存在となり、情報を介して双方向のコミュニケーションを活発化させています。グローバル化が加速する現在においてますます重要な機能として位置付けられており、翻訳を通じて多用な言語圏の関係者に向けた情報発信が日々行われています。

●企業HPのローカライズが一般化

 企業のホームページは一般的に、左側上部に企業のロゴや企業名が掲示されており、そのまま視線を右端に移すと検索窓などがあります。企業によってはこの位置に、言語切替えのUI(ユーザー・インターフェース)をメニューに加えています。その多くは、日本語版と英語版の2言語、或いは中国語版を加えた3言語版を提供しています。

 また、グローバルにビジネスを展開している企業では、海外共通のローカル・サイトを英語版で作成し「グローバル・サイト」として提供したり、或いは、複数の主要なビジネス相手国先の現地語サイトをそれぞれ作成して情報発信したりしているケースも目にします。

 企業の多言語展開には、本邦企業の場合は日本語版に違わず他言語に置き換えたり、必要に応じて編集した部分のみ他言語化(いわゆる、ローカライズ)したり、また、外資企業の場合は日本国内の情報受信者に最低限必要な情報のみ和訳をすることもあります。

 自社のホームページをローカライズする場合、依頼企業側で必要な情報を整理した上で翻訳会社に依頼し、翻訳会社では当該言語のネイティブが原文の意図を汲んで翻訳します。
 
 ネットの情報は検索ブラウザの提供先によって機械翻訳を行う機能があり、企業はHPを多言語展開する必要がないと思われるかもしれませんが、機械翻訳の精度はまだまだ完璧ではなく、また、企業の意図を正確に伝えることができません。このため、他言語ユーザーに対して企業の意図した内容を通じてリーチしたい場合は、翻訳会社を介してネイティブスピーカーがしっかりと翻訳したものを情報発信することが推奨されます。グローバル化が進展する現在、多言語の情報発信はビジネスの成否にかかわることになるでしょう。

●ホームページの一般的なサイト構成

・会社情報:トップメッセージ/企業理念/役員一覧/企業概要/事業概要/沿革/主要拠点/コーポレート・ガバナンス
・ニュース:ニュースリリース
・製品・サービス紹介:法人向け/個人向け
・投資家情報:IRニュース/IRライブラリー/IRカレンダー/経営情報/財務・業績情報
・サステナビリティ:トップメッセージ/CSRの取組み
・その他:採用情報/問い合わせ/FAQ/プライバシー・ポリシー/サイト利用規約

●プライバシー・ポリシーの重要度が高まる

 企業HPにおいて顧客との双方向化が一般的となってきた過程で、顧客情報の取扱いが問題化しました。企業はその対処として、個人情報の取扱方に関する方針を「プライバシー・ポリシー(個人情報保護方針)」を掲げて自社内の取組方針として示しています。

 その他、企業の免責事項や著作権・商標権の規定、ウエブサイトのリンクの方針、推奨動作環境、裁判事項などを説明した「利用規約」を併せて掲載しています。

 他言語版の企業HPを作成する際は、この部分を削除することなくローカライズしており、翻訳会社では法務関連専門の翻訳者が適切に翻訳しています。

*ティム・バーナーズ=リー博士は1990年12月20日に世界最初のウエブサイトを公開、その後、1991年8月6日に同氏は「World Wide Webプロジェクトに関する簡単な要約」をニュースグループに投稿。一般的には後者がWEBサイトの誕生日とされているようです。

サイマリンガルは、企業のグローバル化をサポート致します

サイマリンガルでは、創業以来、技術系の翻訳に注力してきた実績があり、SDSをはじめ作業仕様書、取扱説明書、品質管理文書、製品カタログ、プレゼン資料などのさまざまな技術系文書の翻訳に対応しています。
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