企業内で人や組織を表すのに用いる固有名詞があります。メール文や社内文書をはじめ、さまざまな文書内で多用されます。
 なかでも名刺はその代表です。名刺に記載される情報は、企業名、所属、肩書、氏名、住所、連絡先、企業HPアドレスなどがあります。また、現在では名刺の裏側が英語版になっているものが一般化されています。
 個人や組織等を特定する用語を英訳する際に、既に企業内で定訳があればそれに従うことは大前提となります。新規に翻訳が必要となる場合は、これらの用語を右から左に直訳すれば良いとも思われますが、英訳する場合、英語圏に対応する用語を適切に選択して英訳しないと情報が伝わりにくくなります。日本の企業名、役職等がどのように対応するのか理解しておくことは翻訳の精度を高めるものとなります。

●企業、組織、部署、役職に関して一般的な英訳例

 企業の組織や個人を特定する固有名詞の英訳は、各企業の方針によってまちまちです。概ね英語圏で使用されている用語に相当するものに置換えられていますが、その概念は日本のそれと必ずしも合致するものではないため、各企業の判断に委ねられます。
 以下、企業、組織、部署、役職に関して一般的な使用例をリスト化しております。

【企業名】

正式名 略称
Company Limited Co., Ltd. 英国、アジア等で用いられる「有限責任」の表記。日本の「株式会社」に相当。Co.と Ltd.の間の「,(カンマ)」は任意。
Limited Ltd. 英国で主流、上記同様の意。
Incorporated Inc. 米国で主流。「法人格を持つ」の意。「Inc.」の前に「,」(カンマ)を入れるケースもある。
Corporation Corp. 米国で主流。「法人の」、「団体の」という意。「株式会社」に相当。
Kabushiki Kaisha K.K. (KK) 日本の「株式会社」のローマ字表記。

【組織名】

本社 Head Office, Headquarters, Main Office
本店 Head Office, Main Store
支社 Branch, Branch Office, Regional Office
支店 Branch, Branch Office
営業所 Sales Office, Sales Branch, Service Office, Business Site
出張所 Sales Office, Sales Branch, Liaison Office
   
工場 Plant, Factory, Site
センター Center
研究所 Institute

【部署名】

事業部 Division, Business Unit
本部 Business Division, Division
Division, Department
Section, Department, Division
Team, Unit, Section
Section, Unit, Subsection
Office
Center

【一般的な部署名】

経営企画部 Corporate Planning Department
人事部 Human Resources Department, Personnel Department
総務部 General Affairs Department
経理部 Accounting Department
財務部 Finance Department
法務部 Legal Department
監査部 Internal Audit Department, Auditing Department
営業本部 Business Unit, Business Division, Marketing Division, Sales Department, Sales Division, Sales Headquarters
営業部 Sales Department, Marketing Department
営業企画部 Sales Planning Department
マーケティング部 Marketing Department
海外営業部 Overseas Sales Department
第1営業部 No.1 Sales Department
生産本部 Production Headquarters, Production Division
開発部 Development Department
製造部 Manufacturing Department
購買/資材部 Purchasing Department
国際部 International Affairs Department
広報部 Public Relations Department
宣伝部 Advertising Department
情報システム部 Information Systems Department
   
社長室 Office of the President
秘書室 Secretarial Office
監査役室 Corporate Auditors’ Office
事業戦略室 Business Strategy Office

【委員会】

委員会 Committee
環境委員会 Environment Committee
安全衛生委員会 Safety and Health Committee
コンプライアンス委員会 Compliance Committee

【役職】

会長/取締役会長 Chairman, Chairperson /Chairman(Chairperson) of the Board 
社長/代表取締役社長 President, CEO(Chief Executive Officer) /President and Representative Director, President and Executive Director
副会長 Vice Chairman, Vice Chair Person, Deputy Chair
副社長 Vice-President, Executive Vice President
取締役 Director, Board Member, Member of the Board
専務 Senior Managing Director (Officer), Executive Managing Director
常務 Managing Director, Executive Director (Officer)
執行役員 Executive Officer, Operating Officer, Corporate Officer
監査役 Corporate Auditor, Internal Auditor, Statutory Auditor, Auditing Officer
顧問 Adviser, Special Adviser, Corporate Adviser, Executive Consultant, Consultant
事業本部長 General Manager, Division Director, Chief of Headquarters
本部長 General Manager, Division Director
統括部長 General Manager, Executive Manager
部長 General Manager, Manager, Division Manager, Division Chief, Department Director, Head
部長代理 Acting General Manager, Deputy General Manager, Assistant General Manager
次長 Deputy manager
課長 Manager, Section Chief, Section Manager, Department Chief, Head
係長 Assistant Manager, Assistant Manager, Head, Leader, Group leader, Subsection chief
室長 Chief, Head
主任 Chief, Supervisor, Leader
   
支社長 General Manager, President of Branch Office
支店長 Branch Office Manager, Branch Chief, General Manager of a Branch, Branch Manager
所長 Director, Chief
工場長 General Manager, Head, Plant Manager
   
理事 Director, Administration Officer, Commissioner

【名前】

1. [名前]+[名字]の順番で記載。 [last name]+[family name]

表記方法として、名前と名字の頭文字をキャピタライズする、名字を全てキャピタライズする、名前と名字を全てキャピタライズするなど、幾つか種類があります。

但し、2020年1月からパスポートなど国の公文書では「姓→名」の順にすることが政府方針によって決まり、表記も「YAMADA Taro」のように姓をすべて大文字にすることになりました。このような記載方法が、今後主流になるものとみられています。(より区別をはっきりさせる場合、「YAMADA, Taro」と名字の後ろにカンマを打ちます)

2. パスポート表記に倣いヘボン式ローマ字で表記 (以下は外務省による記載説明)
綴例:シ[SHI] チ[CHI] フ[FU] ザ[ZA] ジ[JI] ヂ[JI] キャ[KYA] ギャ[GYA] ジャ[GYA]
 ・撥音:B、M、Pの前の「ん」は、NではなくMで表記
 ・促音:子音を重ねて表記
 ・長音:OやUは記入しない
  -「イ」を省略しない場合: 「しいな」(シイナ)SHIINAなど
  -「ウ」を含む長音「ウウ」の場合(「UU」は表記しない)
  -「オ」を含む長音「オウ」の場合(「OU」は表記しない)

【住所/連絡先】
・英語で記載する場合
・階数(部屋番号)+建物名 (建物名+階数(部屋番号)) ➡ 丁目・番地・号 ➡ 町・村・群 ➡ 区・市 ➡ 都道府県
・郵便番号 ⇒ 国   (➡の部分にカンマを入れます)

・電話番号は、日本の国番号「+81」(日本)を先頭に付け、市外局番の「0」を省略して記載します。

例)「090-XXXX-XXXX」 : 「+81-90-XXXX-XXXX」

【記載の順番】
記載方法は日本の順番と逆になります。

サイマリンガル株式会社
営業部
部長
山田 太郎
Taro Yamada
General Manager
Sales Department
Simulingual, Inc.

 

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