●SDSは国際標準規格にて標準化 海外輸出には相手先の言語で提供が義務化
安全データシートは、化学物質の取扱事業者が危険性または有害性の恐れがある化学物質を一定割合以上含む製品を他の事業者に譲渡または、提供する際に、当該化学物質等の特性や取扱いに関する情報を提供するための文書と定義されます。化学物質の製造、使用、輸送、処理、管理、廃棄の各サプライチェーン従事者に対して、危険を周知し、災害・事故を未然に防ぐことが目的にあります。
日本では、民間で自主的に記録・提供が行われていましたが、2000年に労働安全衛生法により、翌年には化学物質排出把握管理促進法と、毒物及び劇物取締法によりSDSの提供が法律によって義務化されました。それぞれ以下のように、所管や目的、指定化学物質などの面でSDSの作成は異なります。
・化学物質排出把握管理促進法:経済産業省所管/化管法の指定化学物質/環境保全等
・労働安全衛生法:厚生労働省所管/安衛法指定の通知対象物質/職場環境の安全
・毒物及び劇物取締法:厚生労働省所管/毒劇法指定の毒物劇物/毒劇物のリスク管理
各用途・目的に応じて法律下の制度に照らして作成されるSDSは、対象官庁にてフォームが提供され、それに従って各事業者は作成します。但し、一般的には「GHSに対応する国内規格:JIS Z7253」及び「国際規格:ISO11014」にて標準化されており、これらが記述内容の基本となっています。また、日本国内でSDSを提供する場合は日本語、海外への輸出の場合などは提供先の言語に翻訳して作成することが義務付けられています。
●SDSの記述内容は16項目
省令が定めるSDSの記述内容は以下の通りで、この項目は変更不可となっています。
1. 化学品及び会社情報
2. 危険有害性の要約
3. 組成及び成分情報
*含有する指定化学物質の名称
指定化学物質の種別
含有率(有効数字2桁)
4. 応急措置
5. 火災時の措置
6. 漏出時の措置
7. 取り扱い及び保管上の注意
8. ばく露防止及び保護措置
9. 物理的及び化学的性質
10. 安定性及び反応性
11. 有害性情報
12. 環境影響情報
13. 廃棄上の注意
14. 輸送上の注意
15. 適用法令
16. その他の情報
●SDSの記述内容は16項目
SDSの記載の対象となっているのは、人体や生態系に影響を及ぼすもので、化管法下では全部で562種類があり、その危険度に応じて「第1種指定化学物質」「第2種指定化学物質」に分類されます。
第一種指定化学物質 | PRTR制度、化管法SDS制度の対象物質 | 462物質 |
---|---|---|
第二種指定化学物質 | 化管法SDS制度の対象物質 | 100物質 |
合計 | 562物質 |
●ラベル作成は努力義務
・危険有害性を表す絵表示 ・注意喚起語 ・危険有害性情報 ・注意書き ・化学品の名称 ・供給者を特定する情報
●SDS翻訳のポイントは?
・情報の正確性に対して最大限の慎重さを期す
安全データシート(SDS)の翻訳には、化学物質やSDSに関する法制度などについて専門的な知識が必要となります。記載されている情報は、取扱う作業者の生命に関わるものであることから、情報の取違いは大きなリスクに発展する場合もあります。翻訳者は、情報の正確性に最大限配慮しつつ、翻訳作業を行います。
・国際的に統一された表記は踏襲する
SDSは、国際的に標準化されたものであるため、共通化された表記は踏襲することが基本となります。但し、化学物質にも各国の名称があるため、情報提供先のドキュメントに精通しておくことも重要です。
例えば、化学物質の名称には、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry:国際純正・応用化学連合)のほかにも、米化学会の下部組織CAS (Chemical Abstracts Service)が発行する「化学及び関連分野の文献抄録誌」というデータベースで活用されている化学物質名が登録されています。後者は、日本語ではケミカル・アブストラクトとして活用されています。この化学物質を特定する番号として、CAS登録番号というものがあり、米国ではこの番号が記載されます。
・原文のフォーマットにて上書き翻訳する
原文のSDSは、ワードファイルで作成されている場合、原文に上書きする形で翻訳し、必要に応じてPDF化して提供します。可能な限り原文のフォーマットに近づけることで、原文との比較が容易になります。
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サイマリンガルでは、創業以来、技術系の翻訳に注力してきた実績があり、SDSをはじめ作業仕様書、取扱説明書、品質管理文書、製品カタログ、プレゼン資料などのさまざまな技術系文書の翻訳に対応しています。
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