用途においても、有価証券報告書など行政機関に対して報告義務を負うもの、株主などステークホルダーと呼ばれる特定の利害関係者に対して説明責任を必要とするもの、顧客に対して提供する商品への理解を促進させるものなど多岐にわたります。こうした多様な金融業界向けの翻訳において、共通して押さえておくべきポイントがあり、それによって翻訳の出来栄えが大きく左右されます。
キーポイントは正確性、ビジネス環境の精通度、そしてエンドニーズの把握
金融翻訳とは、銀行、証券、保険、不動産、リース、資産運用といった金融業界に関わる書類はもちろんのこと、一般企業の経営状況を報告する決算報告や株主通信、株主総会向け招集通知などもその対象として扱われています。金融という独特な業界内での業務で遣り取りされる書類の他にも、ステークホルダーとのコミュニケーションの一環としてあらゆる業界でも使用されるのが金融翻訳の特徴と言えます。
このように非常に幅広い性質を持つ金融分野の翻訳は、しっかりと押さえておくべきポイントがあり、その精度いかんによって果たすべき役割において大きな差が生じます。金融というデリケートな業務活動と同様、翻訳にも繊細な配慮が求められており、具体的には大きく次の3つの要素がカギとして挙げられます。
正確性は翻訳の大前提
お金の流れを根幹とする金融業務において、その翻訳には数字の扱いが生命線となります。書類に記載されている数字のデータを基に投資家や債権契約の相手は将来の行動を決定するわけですから、数字の正確性は絶対です。
例えば、命数法と言われる数字の位取りには、日本と米国で異なり、日本語の1億円を英訳する際には100 millionと置き換えます。このように言語変換と同時に、数値の変換も正確に行わなければならず、多少でも誤りがあれば、文章の信頼性が失われてしまいます。数字の正確な記載は翻訳の大前提となります。
マーケット・業界の精通度が質を担保
金融分野は専門性が高く、高度な知識を必要としているため、いくら語学力があったとしてもそれだけでは適切な翻訳はできません。特に、投資活動に関する内容には、金融マーケットの理解が不可欠であり、それには日々の情報収集能力も翻訳者に求められます。
また、一般企業が公表する決算報告書には財務情報に加えて、各社・各業界の事業・経済環境が説明されているため、翻訳に際しては当該企業の事業内容にも熟知しておく必要があります。マーケットや企業、業界への十分な理解は、金融翻訳の質を高めます。
▼エンドニーズの把握が重要
高度な正確性と専門性を前提とする金融翻訳には、最終的な情報の受信者を意識した文章力も求められます。決算資料などの報告文書には、正確かつ平易な文章が一般的ですが、例えば、株主向けのPR文章には丁寧な文章が求められます。同じく、顧客向けの商品・サービス内容を説明する際には、意訳などを交えながら、商品・サービスの特性を伝えることが望ましい場合もあります。金融翻訳には、それぞれの用途に応じ、最もふさわしい文章力で伝えることが大切になります。
サイマリンガルは、金融のグローバル化をサポート致します
サイマリンガルでは、創業以来、金融分野に注力してきた実績があり、事業報告書・計画書などの事業関連文書、有価証券報告書、エコノミストのリサーチ・レポートをはじめとしたさまざまな金融関連書類の翻訳に対応しています。
各専門分野に精通した翻訳者を国内外に多数抱え、質の高い翻訳サービスの提供によって、海外市場に向けたビジネス発展のサポート役として力を発揮します。
金融関連の翻訳については、こちらをご覧ください。