ChatGPTは、2022年11月からサービスが開始されたAIチャットサービスです。ユーザーからの質問や指示に対して、人間らしい回答が得られるとして、個人だけでなく、企業でも導入が進められています。
ChatGPTは、さまざまな言語に対応していることから、翻訳目的としても利用可能です。今回は、ChatGPTの翻訳精度の高さや翻訳する際のコツなどについて紹介します。
ChatGPTで翻訳をしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
ChatGPTの翻訳精度の高さ
OpenAI社が公開している、各言語の処理精度を表すグラフを見ると、さまざまな言語で80%以上と高い精度を誇っています。
最新の言語モデルであるGPT-4を用いての日本語の翻訳精度も、80%弱と高い数値です。現在でも質の高い翻訳は可能ですが、今後のアップデートによって、人間が翻訳した場合と大差ない品質になることも考えられます。
また、ChatGPTは提示された文章をただ翻訳するだけでなく、口調の指定や子どもにも理解できる文章への要約も可能です。
ChatGPTで翻訳するときのコツ
翻訳する際は、ChatGPTへ指示を出すだけでなく、詳細な条件の提示や翻訳後のフィードバックによって、翻訳の質が向上します。クオリティの高い翻訳を求めている人は、以下の解説を参考にしてChatGPTを利用してみましょう。
翻訳元の文章を明確にする
ChatGPTで翻訳する場合は、翻訳前の文章を明確にする必要があります。翻訳前の文章が曖昧なままでは、翻訳後もわかりにくい文章となってしまい、修正の手間がかかってしまいます。
翻訳をする際は、元の文章を入力するだけでなく、文章に含まれている意味や文脈を事前に理解しておくことが重要です。内容を整理したうえで、ChatGPTへ指示を与えると、より正確な翻訳結果の出力が可能となります。
言語を明確にする
ChatGPTで翻訳する場合、翻訳前の文章がどの言語で書かれているのか、またどの言語で翻訳をしたいのかを明確にします。
英語から日本語へ翻訳する場合と、スペイン語から日本語へ翻訳する場合では、翻訳においての注意点が異なります。また、翻訳前の文章に、方言などの地域的な要素が含まれている場合は、指示の内容にも考慮しなければなりません。
ChatGPTで言語を指定して翻訳する際には、明確な指示文を簡潔に入力するようにしましょう。
文体やスタイルを指定する
ChatGPTでは、指示内容を工夫することで、文体やスタイルの指定が可能です。同じ文章を翻訳する場合でも「で、ある調」か「だ、である調」などと、指定して翻訳ができます。以下で、文体を指定したいときに使える指示文を紹介します。
・会話調で
・創作的に
・新聞記事風に
・物語調で
・比喩的に
・学術的・論理的に
・分析的に
・手紙風に
・説明文っぽく
・口達者な感じで
特定の文章体系で執筆したい場合などに利用できるため、ChatGPTで生成したものを参考にして文章作成が可能です。
翻訳の目的を説明する
ChatGPTによる翻訳では、目的を明確にしたうえで指示を与えると、求めていた翻訳結果に近づけられます。仕事で使用する資料の作成が必要な場合は、専門用語の導入や正確な文章にするための指示を与える必要があります。
また、映画の台詞や小説を翻訳する場合、元の文章に含まれている感情やニュアンスを壊すことなく、翻訳できるような指示が必要です。
検証・フィードバックする
翻訳後の文章を確認し、検証やフィードバックを通じて、文章の違和感や文法の間違いなどを修正すると、翻訳の質を上げられます。また、フィードバックを続けていくと、どのような指示を与えたら適切な翻訳文にできるのかが見えてきます。そのために、ChatGPTだけでなく、利用者自身のスキル向上も大切です。
自分だけでフィードバックせず、第三者に依頼すると、自分では気づけなかった誤りを発見でき、改善につなげられるでしょう。
ChatGPTで翻訳するときの注意点
AIの活用で翻訳作業の時間短縮など、さまざまな効果がありますが、使用にあたってまったく問題がないわけではありません。人間による翻訳と比較して、AIを使用した場合では、翻訳結果に違いが出るなど、違和感がある場合もあります。
以下で、どのような部分に注意すべきかを解説します。
不正確な翻訳になる可能性がある
ChatGPTの翻訳精度は高いと先述しましたが、完璧に翻訳できるまでにはまだ達していません。時折、不自然な文章で出力することがあり、出力後は手作業での修正が必要です。
日本語に翻訳する場合は、間違っている部分がわかりやすいため、修正しやすいでしょう。しかし、外国語に翻訳した場合、翻訳後の文章が本当に正しいのか判断しにくいため、誤った文章を使用する可能性もあります。
正確に翻訳したい場合、ChatGPTを使わずに、翻訳会社へ依頼をするとよいでしょう。専門スタッフによるネイティブチェックも可能で、元の文章に書かれている最も伝えたい部分も漏れなく翻訳してくれます。
機械的な翻訳になる可能性がある
ChatGPTが翻訳した文章は、一見すると人間が書いたような文章と遜色がないように感じるでしょう。しかし、表現のバリエーションが限られるため、同じ表現を連続で使用するなど、機械的な翻訳結果になるケースもあります。
とくに小説を翻訳する際、小説内に書かれている登場人物の心情や風景の表現が複雑に描かれていることが多くあります。ChatGPTで翻訳した際に、本来の表現とは違った形で出力してしまう恐れもあるでしょう。
ChatGPTを活用する際は、翻訳後に表現に誤りがないかを確認し、必要があればリライトをしてください。
専門的な用語や表現には限界がある
ChatGPTは言語データを参考にして翻訳するため、専門用語や表現に強くはありません。専門用語が多い文章や、特定の業界のみで使用されている用語を含んだ文章の場合、正確に翻訳できないケースもあるでしょう。
ChatGPTを使用する際は、できるだけ専門的な用語や表現はそのまま使わずに、意味を砕いて指示文を考えましょう。また、翻訳後に自分自身で手直しを行い、違和感のない文章に仕上げることが大切です。
セキュリティに懸念がある
ChatGPTに入力した文章は、学習データとしてChatGPT内に蓄積されるシステムです。そのため、機密情報などを入力した場合、第三者がChatGPTを使用した際の回答データとして出力される恐れがあります。
過去には、企業がChatGPT経由で機密コードを流出してしまい、企業内でChatGPTの使用が禁止となった事例があります。
機密情報を入力し、万が一流出してしまうと、企業の信頼低下になりかねません。取引先との契約破棄や事業の継続が困難になる可能性もあるため、機密情報の入力はしないようにしましょう。
まとめ
今回は、ChatGPTの翻訳精度と翻訳する際のコツ、注意点について紹介しました。ChatGPTは言語処理能力に優れているため、翻訳目的として活用できるだけの機能を持っています。
ChatGPTでの翻訳では、翻訳元の文章の明確化や文体やスタイルの指定などにより、求めていた翻訳結果に近づけられます。一方で、翻訳後の文章が機械的に感じられる点やセキュリティ面が万全ではないなど、課題が多い印象です。
ChatGPTによる翻訳に不安がある人は、株式会社サイマリンガルを利用してみてください。金融や法律など、さまざま分野に精通したスタッフが翻訳作業を行い、校正とネイティブチェックによって質の高い翻訳が可能です。