みなさんは、翻訳ツールやアプリを利用した経験をお持ちでしょうか。近年はAIを導入した翻訳ツール、アプリも開発、リリースされており、翻訳の精度も以前とは比べものにならないレベルで向上しています。

そんな翻訳ツール、アプリのなかでも、自動翻訳はとくに身近な存在ではないでしょうか。YouTubeに代表される動画配信サイトでも導入されており、気軽に海外の動画を翻訳付きで楽しめるようになりました。

そこで、今回は音声や字幕でよく利用される自動翻訳を導入するメリットやデメリットについてご紹介します。また、自動翻訳を導入するにあたって、どのように自動翻訳のツールを選べばよいかについても取り上げるため、ぜひ最後までご覧ください。

自動翻訳とは

そもそも、自動翻訳とはどのような技術なのでしょうか。自動翻訳とは、人間が行う翻訳作業をコンピューターが自動的に行う技術です。人間が有している言語の理解能力、そして表現能力を機械が模倣することで、ある言語で書かれた文章を別言語の文章へ変換します。

従来の自動翻訳は、どれだけ簡単な文章であってもまったく意味がわからない翻訳が仕上がるのが常でした。しかし、最近ではAIを導入した翻訳精度の高い自動翻訳ツールも登場しており、実際の翻訳業務の現場でも補助ツールとして活躍しています。

自動翻訳と機械翻訳の違い

自動翻訳と混同されやすい存在が、機械翻訳です。どちらも、入力された文章をコンピューターが別の言語の文章に翻訳するものですが、具体的な違いが存在しています。

まず、自動翻訳についてですが、こちらは主に音声翻訳を行う存在です。音声をその場で翻訳し、翻訳した音声をその場で出力するため、リアルタイムで行われるコミュニケーションなどで活躍します。

自動翻訳は日本国内においても存在感を強めており、2021年に開催された東京オリンピックでも多数の自動翻訳ツールが導入されました。オリンピック終了後も、訪日客を対象とした小型の自動翻訳機の導入が、鉄道など公共交通機関を中心に進められています。

一方の機械翻訳は、人の手によらずコンピューターが行う翻訳作業のことです。機械翻訳の精度は年々向上していますが、翻訳が抜けたり、原文に存在しない文章が突然出現したりするなどの問題が依然として発生しているため、人間によるチェックはまだ欠かせません。

自動翻訳のメリット

日常生活のさまざまな場面でも見かける機会が増えている自動翻訳ですが、具体的にどのようなメリットが存在するのでしょうか。主な利点を取り上げてみたので、順番にチェックしていきましょう。

素早く翻訳できる

語学に精通している人であれば、一度は外国人を対象とした通訳を行った経験を持っているのではないでしょうか。しかし、語学を翻訳するためには、語学を話すのとはまったく異なる技術が必要です。

とくに、同時通訳は相手の話した内容をすべて記憶し、別の言語に置き換えるプロセスがあるため、特別な訓練が求められます。

人間の通訳であれば、一度文章を聞き取ってから別の言語に置き換える過程を挟みます。しかし自動翻訳の場合、その手順を飛ばして、聞いた端から翻訳を行うため、驚異的なスピードで翻訳が可能です。

例を挙げると、文章を翻訳する場合、人間は1日で2000文字前後が限界ですが、自動翻訳を活用するとほとんど一瞬で翻訳が完了します。そのため、作業時間が限られている場面などで自動翻訳は活躍するでしょう。

さまざまな言語に翻訳できる

語学の習得には、非常に長い時間が必要です。たったひとつの言語を学ぶだけで年単位の時間をかけなければならないのに、複数の言語の習得を目指すとなれば、なおさら時間がかかります。

とくに、言語形態が異なる語学を習得しようとすると、通常よりも長い時間をかけて語学を習得しなければなりません。日本人が、日本語と文法が似ている韓国語を比較的楽に習得できる一方で、文法だけでなく発音も異なる英語の習得に苦労しているのはそのためです。

しかし、自動翻訳であればひとつの言語だけでなく、複数の言語に翻訳ができます。たとえば、代表的な機械翻訳エンジンであるGoogle翻訳は、100以上の言語に翻訳が可能です。

低コストで翻訳できる

翻訳や通訳を専門の業者に依頼すると、当然依頼料がかかります。英語や中国語など、メジャーな言語の翻訳を担当してくれる人材であれば比較的見つけやすく、費用もある程度抑えることも可能です。

しかし、マイナー言語の場合は翻訳を行ってくれる人材を探す手間がかかるだけでなく、高額な費用がかかります。

たとえば、日本語から英語への翻訳は1文字あたり6円から依頼できる業者もありますが、マイナー言語であるウクライナ語から日本語への翻訳は1文字あたり24円かかり、その差は4倍です。

一方で、自動翻訳を活用すると、使用する翻訳ツールにもよりますが、1文字あたりのコストを圧倒的に抑えられます。また、単純な費用の削減だけでなく、翻訳前後に発生していた作業の自動化もできるため、これまで目に見えていなかったコストの削減もできるでしょう。

自動翻訳のデメリット

対応言語の幅の広さやコストの削減など、自動翻訳を導入することでさまざまなメリットを享受できますが、もちろん利点だけが存在するわけではありません。続いては、自動翻訳のデメリットについてご紹介します。

精度に問題がある

自動翻訳は、以前のものと比べると明らかに翻訳の品質は向上していますが、依然として翻訳の精度に課題を抱えています。単純かつ短い文章であればほとんどの場合大きな問題は発生しませんが、複雑でアカデミックな文章などは、すべてを自動翻訳に任せるのは非常にリスクが高いです。

そのため、自動翻訳を導入しても、最終的には人の手で細かなチェックを行う必要があります。場合によっては、通常の翻訳よりも手間と時間がかかってしまう可能性も否定できません。

自然な文章にならない可能性がある

自動翻訳はあくまで、入力された音声やテキストを別の言語に翻訳するためのツールです。そのため、文章の背景や込められた心理を理解できません。

結果、仕上がった翻訳が機械的な文章になってしまうリスクがあります。とくに物語を翻訳する場合、細かなニュアンスや心理描写を表現できず、相手に伝えたい部分が伝わらない可能性もあるため、翻訳された文章を改めて書き直すなどの対応が必要です。

誤訳の可能性がある

翻訳において最も避けるべき事態は、文章の誤訳です。とくに正確性が求められる論文やニュースの翻訳については、人間の翻訳家も細心の注意を払いながら作業を行っています。

自動翻訳も少しずつ実際の翻訳現場に導入されるようになっていますが、今でも専門用語や固有名詞に関する誤訳が非常に発生しやすいです。

また、原文に存在しないはずの文章が訳文に出現するパターンもあり、完全に自動翻訳に仕事を任せるのは、危険といわざるを得ないでしょう。

自動翻訳の選び方

自動翻訳は現在、さまざまなツールやアプリが多数の企業で開発、リリースされています。そのため、選択のポイントを絞って、ツール選びに迷わないようにしましょう。

まず重視すべきポイントは、対応している機械翻訳エンジン数の多さです。複数の機械翻訳エンジンが活用できれば、翻訳の精度が上がるだけでなく、ひとつの機械翻訳エンジンのサービスが停止しても問題なく作業を続けられます。

また、実績とサポートが充実している自動翻訳を選択するようにしましょう。開発の経緯やバックグラウンドがわからない自動翻訳よりも、多少高価でもわかりやすい実績を残している自動翻訳の方が、安心して使用できます。

映像翻訳は字幕以外にも吹き替え、ボイスオーバーなどがあります。こちらの記事では、映像翻訳の品質を高める方法や翻訳会社選びのコツを紹介しています。

まとめ

以上、自動翻訳のメリットとデメリット、自動翻訳を選ぶ際のポイントについて取り上げてきました。AIなどの最先端技術の登場、進化によって自動翻訳のスピードも質も向上していますが、翻訳の精度を保つためには、依然として人の手によるチェックが欠かせません。

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